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刑事弁護ガイドライン策定反対通信No.56     02/6/24             <事務局連絡先>東京都港区北青山3−15−13−603 
   鈴木達夫法律事務所(TEL03−5467−8480)
 
刑弁センター熱海合宿報告
 
政府推進本部「検討会」で、何も言わない,何も言えない弁護士委員
 冒頭、政府の司法制度改革推進本部の「公的弁護制度検討会」で唯一の弁護士メンバーの浦前委員長から、同検討会と裁判員・刑事検討会の報告がなされ、井上正仁東大教授(盗聴法の推進者)座長のもと、議事録は匿名裁判員制度は来年夏までに法案化との予定が明らかにされました。予測に違わず、弁護士委員は完全な「お飾り」でした。
 
一人年間100件の「刑事専門弁護士」?! 検討会へ日弁連が提案
 最初に議論されたのが、運営主体問題にはまったく触れないままの、「対応能力」と称する公的弁護制度の弁護態勢に関する日弁連への答申案でした。
 その中心構想は、国選の刑事事件のみを1人年間100件を担当する「刑事専門弁護士」。
@一般の弁護士の処理可能件数をこえた事件および裁判員制度のもとでの集中審理事件等を担当する、A実施年度は2006年4月、B身柄拘束事件全体(含少年)を対象とする、C首都圏・関西圏などはブロック方式で対応する。例えば横浜では35人必要とのこと。
 
 この答申案は、全体会の2、3日前になって委員に突如FAXされたものです。
〇「特任検事らが主となる公設事務所と合わせて見れば、これは‘悪魔のシナリオ’だ」
〇「捜査弁護の大変さや、否認事件を想定していない」
〇「特定の弁護士の年間数十件の受任も問題としてきた弁護士会の方針に反する」
〇「刑事弁護の独立性をどう考えているのだ。本日採決すべきではない」
等々の意見が噴出しましたが、執行部は「6月25日の検討会に持参するため」の一点張りで採決強行。賛成26:反対17:保留9、司会者の2票を加えて、ようやく過半数でした
 
 また、日弁連は、特任検事(3年以上副検事の職にあって検察官特別考試令に定める考試に合格して二級検事に任命された者)への弁護士資格付与を容認する意見書を政府・推進本部に提出し(6/18)、さらに法務省・最高裁は副検事・簡裁判事にも弁護士資格を付与することを求めています。
 
内閣・推進本部=日弁連の公的弁護構想に絶対反対の声を!
 何故、こんなデタラメが横行するのか。本年3月19日に閣議決定された司法制度改革推進計画で「連日的開廷による集中した審理を実現するため公的刑事弁護制度の整備および弁護士の執務体制の強化」を行うとされたことに、日弁連が双手を挙げて賛成しているからです。被疑者の防御権の強化などという視点は微塵もありません
 小泉首相も推進本部顧問会議において「裁判は早く行わなければいけない」ということだけを強調しています。こんな公的弁護はゴメンだ、全国弁護士の反対で葬り去ろう!
 
 裁判員制度に「アレインメント」「予備審問」「報道規制」が登場
 全体会2日目の午前に議論された「裁判員制度の制度設計(案)」には、この制度の本性がついに姿を見せたというべきか、戦後の刑事弁護がたたかい取ってきた原理を、ただ「アメリカ並み」などという浅薄極まりない理屈をもって否定する提案が登場しました。▲アレインメント制度。現行刑訴法における被告人の意見陳述権(291条)の意義を否定し、また捜査機関の権限強化のため法務省が立法を急ぐ「司法取引」への水路です。
特別裁判官 アレインメント、身柄に関する「予備審問制度」及び公判準備手続に関わる「公判担当裁判官とは別の裁判官」の創設。彼らが裁判を実質的に決する。
報道禁止 「何人も、特定の刑事事件の評価に関するコメント又は論評をしてはならない」
―こうしたスサマジイ内容の、しかも突如の提案に、多くの委員は驚き、激しく批判。アレインメントや報道禁止は撤回されたものの、政府と日弁連とが一体となり裁判員制度で何を考えているか、一層はっきりしました。年内の検討会論議終了に向け、裁判員制度の導入を絶対に許さない大運動を構築しましょう。
 
弁護士倫理の懲戒事由化と刑弁ハンドブックの作成
             ガイドラインの息の根を止めよう!
 刑事弁護の現場からの圧倒的な反対の声によって葬り去られた刑事弁護ガイドラインが、弁護士倫理の会則・懲戒事由化という形をとって息を吹き返そうとしています。
 経団連・連合・主婦連・日経新聞社が加わった日弁連「弁護士倫理委員会」が昨年8月から「弁護士倫理改正」に着手しています。その第1次意見照会に対し、刑弁センターは「極めて慎重に」と回答しています。「『弁護士倫理』を会則として制定し,具体的倫理条項部分について懲戒事由としての法的拘束力を持たせることには,反対である」とする日弁連刑事法制委員会の回答書とは対照的です。
 刑弁ガイドラインの復活のもうひとつの動きは、「刑弁ハンドブック」なるものです。「不適切弁護の解消、あるべき弁護活動の水準、弁護士倫理規定の適切な解釈」などと言いつつ、現在作成中だというその中身は口頭による一部の紹介にとどまり,文案の配布さえできませんでした。
 
 この熱海合宿に示されたような日弁連の論議に、日本の刑事弁護の未来を託することはできません。推進本部の「公的弁護制度」と「裁判員制度」への屈服と迎合を断ち切り,直ちに私たち自身の一大反対運動を強く進めましょう!



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