10.9刑事司法改悪反対・治安立法阻止
 弁護士・学者討論集会のまとめ
 
 本日の集会に出席した私たち約80名は、3時間近くの討論をとおして、おおよそ次のような結論に達しました。
 第1に、いま、「権力濫用のチェック」「一人の無辜も罰しない」という戦後刑事司法の理念から、「治安管理の柱としての刑事司法」へと、その原理が根本的転換を遂げようとしていることです。 この意味で、刑事司法は、戦後最大の危機を迎えています。「戦争放棄の国」から「戦争をする国」への国家改造、つまり有事体制として憲法の破壊が進む情勢と一体の危機と考えます。
 第2に、この刑事司法の大転換は、2つの方向から押し寄せているということです。一つは、刑事実体法の世界から。「共謀罪」の新設による刑法総則の実質的改悪に現れているように、近代刑法の基本原理を根本的に覆すような治安強化の立法ラッシュです。行為責任・個人責任主義が否定される「中世的世界」への逆行がまかり通ろうとしています。
 二つは、昨年6月の司法制度改革審議会意見書が打ち出したいわゆる「司法改革」路線に従って、現在、政府の推進本部において急ピッチで進められている司法制度の諸々の改変から。これは新たな刑事訴訟法の制定にまで行き着く全面的なものです。
 第3に、この「刑事司法改革」なるものの中軸が、裁判員制度の導入にあることもはっきりしました。「国民の司法参加」という建前の真実の姿は、新たな準備手続の導入で起訴状一本主義を捨てたうえで、裁判官の職権強化による「迅速すぎる裁判」と、「健全な社会常識を直截反映」した重罰化です。また、公的弁護制度は、一種の国営弁護として、弁護活動に対する国家統制を不可避とします。
 最後に、本討論集会では、共謀罪・心身喪失者等医療観察法案・ゲートキーパー法案等々が、近代刑法の原理に真っ向から反し、人々の「自由」や「団結」を押しつぶす画歴史的な悪法であり、絶対に容認できないことも共通の認識にしました。
 
 私たちは、日本の刑事司法の未来に責任をもつ者として悔いを千載に残さないよう、有事体制の一環として進められる刑事司法制度の改悪と治安諸立法の危険を、深く広く人々に訴え、広汎な反対運動を作り上げて行く、その一歩を印したことを、ここに共に確認します。
   
        2002年10月9日 東京・霞ヶ関弁護士会館にて
           刑事司法改悪反対・治安立法阻止 弁護士・学者討論集会  参加者一同