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民衆の権利をふみにじる 
      まやかし「司法改革」に反対しましょう

2002年6月24日
憲法と人権の日弁連をめざす会(代表 弁護士高山俊吉)

<連絡先>東京都港区虎ノ門1−1−11マスダビル4階
tel 03-5157-5488 fax 03-5157-5489

 いま小泉内閣がおしすすめる「司法改革」は、トンデモナイ内容です。現状を良くすると称して、実際は司法を破壊し、民衆の権利をふみにじるものにほかなりません。
 政府・財界は、この「司法改革」を“この国のかたちの再構築に関わる最後のかなめ”“国家戦略”として位置づけており、有事立法策定の流れと結びついて、治安取締りの強化と人権否定の「有事司法」をねらうものといわざるを得ません。

 私たち「憲法と人権をめざす日弁連の会」は、およそ3年間、このまやかし「司法改革」に反対し、日弁連執行部の迎合姿勢を批判しつつ、人権の砦・日弁連を崩させないために行動してきました。今年2月に行われた日弁連会長選挙では、当会の代表を会長候補として、「司法改革」の危険性を全国の弁護士に訴えた結果、実に4728名もの弁護士の支持を得ました(ちなみに、現会長は、8065票です)。また、この6月5日には、弁護士会館講堂におよそ740名の弁護士・学者・労働者・民衆が一堂に会し、有事立法とともに、まやかし「司法改革」に反対していくことの意思を固めています。

 政府が進める「司法改革」の実像は、次のようなものです。

★ 裁判を起こしにくくなる弁護士費用敗訴者負担
 訴訟に負けた者が相手方の弁護士費用を負担する制度です。証拠収集能力と経済力において格段に優勢な大企業など社会的強者にとっては提訴・応訴を容易にしますが、消費者・公害被害者・労働者などにとっては、提訴をためらわせ、また、不本意な和解を押しつけられるなど泣き寝入りを強いられます。
 
★ 刑事裁判は、迅速処罰の儀式に
国民の司法参加」という名目の裁判員制度。しかし、その実は、政府の審議会自身が「個々の被告人のための制度ではない」と明言しているとおり、被告人の防御権充実や適正手続の保障とは全く無縁です。この制度の眼目は、重大事件や否認事件を超特急で終わらせることにあります。「裁判員の負担軽減」のために、たとえ否認事件であっても5日〜10日で処理すべきだといわれており、その一方で、保釈を認めないいわゆる「人質司法」の問題などは何ら改善されようとしていません。
 また、裁判員制度のもと連日の開廷が原則化されると、現在の弁護士が私選弁護で対処することは困難となります。そのために「公的弁護制度」が構想されていますが、その運営は国家機関が担うものとされていることから、刑事弁護の国家管理化の危険が大です。
 
★ 労働者の団結する権利の否定
 労働調停制度は、労働組合(団結権)を否定するものです。労働紛争が個々バラバラの労働者と使用者との関係に置き換えられ、「専門家委員」による現状追認の和解が押しつけられることになりかねません。また、現在の労働委員会制度が単なる「苦情処理」機関に変えられようとしています。
 
★ 金持ちしか法律家になれないロースクール
 現在、司法研修所で国の費用により行われている法律家の養成を、「法科大学院」(ロースクール)で行うことにする法案が今秋国会に提出されます。ロースクールでは、約1000万円の学費が必要です。これでは働きながら司法試験を目指そうという人や、苦学生などは法曹への道をあきらめざるを得ません。法律家は、富裕階層の出身者に限られてしまうでしょう。また、ロースクール間での格差が生じる一方で、政府(文部科学省)の監督・統制が強化されます。
 
★ 弁護士と弁護士会の御用化
 弁護士の使命は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」(弁護士法1条)ことにあります。しかし、この「司法改革」は、弁護士の独立性を奪い、弁護士自治に介入し、国家や大企業の利益擁護者に仕立て上げようとするものです。
 
★ 今政府と財界が「司法改革」を推進しようとするのはなぜか?
小泉内閣は、今必死に有事立法を成立させようとしています。有事立法とは、日本が戦争状態に入るため、憲法を停止し、首相に独裁的権限を与え、国民の基本的人権を大幅に制限することを許す法律です。
小泉政府は、未曾有の経済危機を、軍事力を背景にしたアジア・太平洋地域での権益確保によって乗り切ろうとしています。それには、国内の反対運動を抑圧し、戦争に動員する体制を作り上げるため、治安取締の強化が不可欠となります。現に、組織犯罪防止条約の国内法化・ゲートキーパー規制・カンパ処罰法案などの治安取締立法や「人権擁護法案」や「個人情報保護法案」と称するメディア規制法案の策定まで企図されています。これらの治安諸立法を迅速に適用・執行し、労働者・民衆の権利を制限し、国家や大企業に対する異議申立を封殺するための司法制度の構築こそ、小泉首相が「国家戦略」と位置づける「司法改革」なのです。
 
 この秋の国会から数多くの司法改革関連法案が提出されます。私たちとともに、有事法制とまやかし「司法改革」に反対の声を上げていきましょう。


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